モナコの税制

モナコの税制が軽いのは良く知られています。日本の税務署は、バハマ、香港、リヒテンシュタインなどと共に、モナコを全所得軽課税国としてクラス分けしていました。(平成4年に廃止) イタリアでは2002年の初めから、モナコをフィスカルパラダイスとして指定しました。

しかしモナコの法律では、(1999年12月28日の法律) いかなるモナコ居住者も脱税の容疑で本国引き渡しはしない、と決めています。

所得税については、モナコの住民は、一部のフランス国籍の人を除き、所得には税金がかかりません。アメリカ国籍の人は、アメリカ以外の国で稼いだ所得に対してもアメリカで申告しなければなりませんが、日本人は日本に半年以上住んでいなければ、住所のある国で申告する事になります。モナコに住んでいれば、所得税がないので、モナコでの所得についてはまったく無税です。

不動産に関してはすでに見てきた様に、不動産税、住居税、財産税、相続税、値上がり利益に対する所得税などありません。

相続税は 直系親族、夫婦間での相続 贈与に税金はかかりません。それ以外の税金も軽くなっています。

直系親族 夫婦 0%
兄弟 姉妹 8%
叔父 叔母 甥、 姪 10%
それ以外の親族間 13%
他人 16%

通常の法人には税金はかかりません。
税金が 課税されるのは次の場合で、 33.30% の法人税です。
 ・モナコ外での年商が 総年商の 25%を超える場合
 ・特許権、商標権、著作権 での利益受け取りをする法人
しかし これに当てはまる会社でも、会社の利益を役員の所得にしてしまえば所得税がないので、法人税もなきに等しいのです。

また 企業進出を促進する為に、1991年以降に設立された会社で他の会社からの出資率が50%以下のものは、最初の2年は免税、それ以降の3年間も軽い税金となっています。

さらにその会社が 技術、科学研究に関係すれば、軽減措置があります。

 


 

◆付加価値税と 関税
モナコとしては付加価値税も無くしたかったといいますが、隣のフランスとの軋轢の結果 、1963年に関税協定を結び、フランスと同様の付加価値税、関税が課されます。年商課税と再投資税についても、フランスと同様です。
税関にかんしては、フランス税関はモナコ内でも、フランスと同様に扱います。
付加価値税は、現在19.6% で(または物によっては5.5%)、小売りの店で商品を買う時にはすでにこの税金が含まれています。モナコ内でショッピングした時には税金はモナコ政府に、フランスでのショッピングではフランス政府に税金が入ります。

モナコの関係者は、モナコが <タックスヘブン> と呼ばれることを嫌っています。
< モナコの税金は穏やか > と言い換えようとします。
確かに、モナコにまったく税金が無いかといえばそんなことはありません。

TVA(付加価値税)はフランスと同じ税率で、なにか商品を買ったりサーヴィスを受けたりするたびに払わなければなりません。付加価値税のないアンドラ公国と違って、生活必要品は、フランスと同じ値段です。
また法人税は、モナコならではの抜け道があるものの、フランスと同じ税率です。
関税については、フランスの税関が、モナコをフランスの一部のように扱っていて、フランスと同じ税率です。アルコール飲料や石油関係も、モナコではフランスやイタリア並みの値段になっています。
モナコ国のそんな税金の収入は、国庫予算の70%まで貢献しています。税金が無いわけではなかったのです。

しかし、所得税がなく、住民税がなく、相続税も直系でゼロ、不動産取得税も固定資産税も無いのですから、これほど <穏やか>なら、やっぱり天国のようなものです。

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