モナコの不動産(住んでよし、投資によし)

モナコの不動産は 高い の一言につきます。
モナコに住んでいると、知り合ったフランス人に言うと、本当にモナコ内にすんでいるのか、と聞き返されるくらいです。一本の道路の、右がフランス、左がモナコという場所もありますが、モナコ側の物件の値段は、フランス側の3倍から5倍くらいです。
フランスの物件の目安が 1m2あたり 4500 ユーロ くらいとすると、モナコでは10000 − 15000 ユーロが最低の値段、ちょっとでも海が見えたり建物が高級だったりするとたちまちプラスアルファが付きます。
モナコで高級アパートといえば、プリンセス21や ヴィラローザ ですが、1m2あたりの値段は25000 ユーロから 30000ユーロになります。
そんなモナコで、一つのアパートの面積が500m2 や1000m2 というものさえあります。

国境を1m越えてフランスの平均的なサラリーマンの給料はせいぜい1500ユーロ程度なので、共稼ぎの給料が家賃にも満たないのでは、どんなにがんばっても 普通の人モには住めない場所なのです。周囲のフランス人からモナコは特別 だと 、反感と嫉妬の混じった目で見られる所以です。

しかし、モナコには高級アパートが続々と建設されています。 うちの東のカルメル教会がつぶされたと思ったら、教会と学校の入った18階建てのアパートができるし、北西の小さい建物も壊されて高級ペントハウスが建ちました。今はすぐ北東のアパート3棟がつぶされて、高級アパートに生まれ変わるため、日夜 朝の7時からよるの9時まで (深夜2時までやっていたこともある! 子供は泣くし、親も寝られない) 工事の音が響いています。

そして不動産屋の多い事! モナコの人口3万人に対して、不動産屋の数は約120軒あります。町を歩いていても、数メートルおきに不動産屋があります。しゃれたバッグの店がつぶれたと思ったら、改装されて不動産屋になっていたりします。
不動産屋のコミッションは通常、売り手から5%、買い手から3% 取ります。客は、この手数料に付加価値税19.6%をのせて払う事になります。

では一体 誰が何のためにモナコの高い不動産を買うのでしょうか?
モナコの不動産は、個人であれ法人であれ国籍をとわず買う事が可能です。不動産民事会社 やオフショーカンパニーでも買えます。
需要の理由は次の事項が考えられます。

・ 安全
・ 生活の質
・ 政治の安定
・ 税金

モナコの不動産の家賃利回りは、2.5%程度と意外と低めです。しかし投資の為に不動産を買う人も多く、転売時の利益には税金がかかりません。他の投資の不透明な先行き感も関係して、値上がりを見込んだ投資として、また自らが住む為に、モナコの不動産を買う人は後を断ちません。ある不動産屋の人は、この業界で30年やっているが、値下がりを見た事がないと言っていました。1990年までは年に25%の値上がりがありました。
モナコの不動産に関する税金については、廃止された物がたくさんあります。

・値上がり利益に対する税金
・不動産税
・住居税
・財産税
・相続税(直系ではゼロ )
などは、隣のフランスにはありますが、モナコにありません。

モナコの物件を買うには、不動産屋を通すと手数料が買い手に3%(プラス付加価値税)、 売買の契約時の公証人代が新建築で2.5%、 築5年以上の物件で 約9%かかります。
不動産屋に貼られた価格には、この手数料がはいっていないことが多いので、確認が必要です。
モナコは小さな村のようなもので、公証人にすべての建物について大体の知識があるので、売買は非常に短時間でできます。場合によっては 1週間でもできるほどです。

また、不動産にたいする銀行の貸しつけは80%まで OKです。金利は銀行によってちがいますが、約6%です。

物件の売買は、SCI 不動産民事会社の株の売買で行われる事が多いようです。会社の売買だと、不動産の売買にかかる公証人の費用を払わなくてすみ、また個人の名前をふせて匿名で居る事ができるからです。モナコには約1400の不動産民事会社が登記されています。
モナコの不動産民事会社が、フランス国内に別荘を持つ事もできますが、フランスの税務署は実際の持ち主を明かすか、あるいは物件の価値の3%を払うように決めています。

ここのところ、昨年の9月11日のアメリカの事件の影響、通貨ヨーロに象徴されるヨーロッパの画一化の動き、イタリアの相続税の新しい法律、それ以前の不動産の急激な値上がりの反動もあって、価格は落ち着いています。

今後の動きに関して、2通りの見方があって、一つは、モナコの生活の質が良い以上、世界中からのモナコの住居に対する要求は止らない、すなわち値上がりは一時期落ち着いても、すぐにまた値上がりが始まる、という見方。
もう一つは、ヨーロッパの画一化の動きと、いままで上客だったイタリア人が、イタリア税務署がモナコを税金天国と認めてイタリアでの会計処理上の税金による制約を加え始めたこと、イタリアの相続税がなくなったこと、などの理由で、いままでのようにモナコのうまみが少なくなり、イタリア人の需要が減ると不動産の相場は下がっていくという見方です。

モナコに注目しているのはイタリア人だけではなく、ヨーロッパ中の人、アメリカ人もいます。
フランス人でさえ、フランスの税務署がきついのに嫌気がさして、所得税はかかるにしてもあえてモナコで(脱税でなく) 節税しようとする人がいます。
よって、大方の見方では、今が買い時です。


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